おかみが綴るグロワール通への道

おはようございます。大阪千林大宮にあるパン屋のグロワールです。不定期ですが、お店の歴史やパンのこと、そして日々の出来事までを少しずつ書いていきたいと思います。最後までお読み頂けると結構なグロワール通になってるかもしれませんね。

グロワールのある町について[2016/9/20]

千林大宮という駅名の通り「千林」と「大宮」の間にあるから千林大宮と言います。千林はとても便利な所で、長い商店街があり、ダイエー発祥の地として知られています。一方大宮は居住区で昔から住んでいるお家が多く、グロワールは両方の皆さんに利用して頂き、ここまで来たのです。グロワールは谷町線千林大宮駅を下車し、2番線を上がってすぐの所にあります。近くには大宮神社があり、「勝運」の神様として奉られています。7月の夏祭りには「ホットドッグ大会」がグロワール店頭にて行われました。ちなみに千林にはマルシェという人のすごく集まる所があり、グロワールも月1回そこでパンを販売しています。1番人気はパン・ド・グロワールです。

パン・ド・グロワールは1.5斤のパネトーネ食パン[2016/10/20]

パン・ド・グロワールはグロワールの人気食パンです。これまでも雑誌、ラジオなどで多数取り上げて頂きました。最近では京阪神エルマガジン社の『大阪おいしいパンを買いに』というムック本にも取り上げて頂きました。阪急パンフェア、京都伊勢丹パンフェスティバルなど多数の催事イベントでもご利用頂いています。パン・ド・グロワールは製法にシェフの工夫と心のこもったデニッシュタイプの食パンで完成までに2年の歳月を費やしました。自然発酵種パネトーネ種を使い長時間発酵しています。酵母と乳酸菌の働きで日持ちがして独特の風味と芳香が楽しめます。生地は中種法でシェフオリジナルの高配合のスイートな生地で、何も付けずにそのまま食べるのがお勧めですし、日にちが経つとフレンチトーストにしても楽しめます。

17年間種継ぎを続けた自家製天然酵母[2017/1/20]

グロワールの自家製天然酵母は「フルーティー食パン」「自家製酵母のハード系シリーズ」に使われています。ブドウの元種をリンゴとブドウの果汁で育て、フルーティーな香りが楽しめます。品質の向上に努め、大切に種継ぎを続けて17年になります。ハード系にはイチジクやくるみ、マスカットレーズン、クランベリーなどのドライフルーツやチーズを使ったもの、粒あんとクリームチーズを使ったものなどがあります。「フルーティー食パン」は国産小麦ゆめちからブレンド、全粒粉を使いもっちりした食感です。元種の発酵具合で出来上がりを見極めベストのphに仕上げるのに最新の注意を払っています。

クルミとイチジクのブリオッシュ[2017/2/24]

パングランプリ大阪最優秀賞を受賞した「クルミとイチジクのブリオッシュ」は、手作りのキャラメルチーズクリームをブリオッシュに塗り、ラム酒漬けの白イチジクとシロップ漬けのクルミを巻き込み、パン生地の発酵後にクルミとアーモンドのグラスールをトッピングしています。クルミのグラスールは、卵白と砂糖をクルミとアーモンドに絡めて、焼いたときにカリカリした食感を出す工夫をしています。その「クルミとイチジクのブリオッシュ」はお取り寄せ通販することも可能です。

2連覇した金ごま食パン[2017/3/24]

2014年の年末「クルミとイチジクのブリオッシュ」が大阪パン協同組合主催のパングランプリ大阪くるみ部門で最優秀賞「大阪府知事賞」を、その翌年2015年末、「金ごま食パン」が健康志向の食パン部門で最優賞を頂きました。金ごま食パンはゴマの食感の違いと食パンの耳の薄さ、粉、風味にとても気を使って作った食パンです。国産小麦100%を使い、油脂は太白ごま油を使っています。テーマが健康部門の食パンなので、卵や乳を使わなくてもモチモチして、金ごまの煎りごまと擂りごまの風味を楽しめる工夫をしました。「金ごま食パン」はお取り寄せ通販も承っています。

グロワールの自家製酵母食パン[2017/4/20]

グロワールの自家製酵母の食パンには色が付いています。うっすらと茶色く、少しだけグレーにも見えますが、これはリンゴとぶどうのポリフェノールの色なのです。それと全粒粉が入っているので色濃く見えます。自家製酵母のぶどうの元種は16年間も育て続けていて、それにリンゴとぶどうの果汁を使っているので、とってもフルーティー!! 袋を開けたら、パンの香りを心ゆくまでかおってみてください。その後、「あ~、この色はポリフェノールの色なんだ~!!」と思いながら、トーストして噛みしめてください。別名「フルーティー食パン」のグロワールの自家製酵母の食パンは、弾力があり、“モチフワ”です。ここで少しだけパン専用国産小麦粉「ゆめちから」の説明をしたいと思います。グロワールは「金ごま食パン」と「自家製酵母の食パン」に「ゆめちから」を使っています。「ゆめちから」はたんぱく質(グルテン)の多い「超強力粉」です。グロワールの自家製酵母パンには、「ゆめちから」と、国産小麦と、全粒粉をブレンドし、適度に強いヒキがあり、食べやすく、もちもちした食感に仕上げています。「ゆめちから」って名前はなんだかロマンチックですよね。小麦を開発した方の「ゆめ」と「ちから」が詰まってるのでしょうか? 色んな品種を掛け合わせて、育てやすく、作りやすく開発された小麦が「ゆめちから」なのです。ぜひ味わってみてください。

チーズガトーの秘密[2017/5/10]

チーズガトーはグロワールに大昔からある焼き菓子で、九州の銘菓「チーズまんじゅう」に似ています。九州からやって来たパンとお菓子の先生が教えてくださったのがきっかけで誕生しました。それ以来、グロワールの定番商品として作り続けられていましたが、関西テレビの情報番組『よ~いドン!』の「本日のおすすめ」コーナーに取り上げて頂いてから、お店を代表するほどの人気者になりました。レーズン入りのクッキー生地にクリームチーズを包んだ、素朴で優しい焼き菓子です。このお菓子を作り続けて35年くらいになりますが、その間ずっと買って頂いてるお客様の中に、娘さんのためにお父様とお母様が交代でチーズガトーを買いに来てくださっているご夫婦がおられます。娘さんが若いときに病気で倒れてから、このスイーツが娘さんを元気づけてくれる存在のひとつだという事で、おふたりとも通い続けているのです。チーズガトーを見る度にその事を思い出し、私たちグロワールの作り続ける力になっています。

りんご食パンの秘密[2017/5/20]

りんご食パンもパン専用国産小麦粉「ゆめちから」を使ったモチフワ食感の食パンですが、りんごは陸前高田の和野下果樹園のものを、りんごの実が赤くなってから造り主の金野秀一さんがもぎ取り、グロワールに送ってくれる期間しか絶対に作りません(それは長い話になるので後々書き綴ります)。金野秀一さんの造ったりんごは、まさに「手塩に掛けて」造られたりんごで、陸前高田の太陽がさんさんと当たるけどあまり暑くなく、潮風が当たって、おいしいりんごを作るのに適した環境です。りんご造りに厳しい金野さんを信用しているからこそ、秋から2月までにしか「りんご食パン」を焼くことは出来ませんが、そういう意味を含めて、おすすめのパンなのです。ちなみにグロワールは金野秀一さんの「りんごの樹」のオーナーですが、初めは細かった樹が、年を追うごとに太くなり、実をつけるのを見ると、お世話して頂いてるだけなのに、まるで自分が育ててるかの様に嬉しくなります。グロワールのオーナーの樹から、りんごをもいで、りんご食パンに使える様になったら、またSNSなどでお知らせしますね。

希望のりんごとグロワール[2017/6/10]

東北に起こった震災後、陸前高田の米崎町の復興をお手伝いする「希望のりんごプロジェクト」というNPO法人が出来ました。米崎町にはりんご農家が多く、震災当時何度も支援にきていたパンラボ池田浩明さんが知り合った和野下果樹園の金野秀一さんを主とした繋がりを持ち、米崎小学校の仮設住宅に住んでいる方や、ホタテ漁師さんとの関わりを続けていらっしゃいましたが、グロワールもその活動に参加しています。一人ひとりは小さい力ですが、お手伝いを重ねる毎に知り合いも増え、現地の人とも顔見知りになりました。米崎町には女性会があり、そこの奥さまたちはとても明るい方ばかりです。りんご農家の方が多いので「アップルガールズ」と名付けられました。お話を聞かせて頂いてると、金野秀一さんも、アップルガールズも、米崎町の復興のことを考え、町の未来を本当に心配しています。とはいえ徐々に新しい家が建ち、移り住む人が増え、新しい暮らしが始まっています。米崎町の変わりゆく様を、今日もなだらかな山の斜面から、りんごの木々が眺めているのです。赤く色付くりんごの実は一度失った様に見えても、また再生する命や暮らしの象徴なのです。

グロワールは希望のりんごの木のオーナー[2017/6/20]

NPO法人「希望のりんごプロジェクト」からコンセプトについて引用致します。「「原点」陸前高田の丘の上。津波に平野部すべてが飲み込まれる一方、それより高いところにあったりんごの木は辛くも難を逃れました。2011年秋、傷跡が痛ましかった風景の中に、りんごの実が点々と赤く彩る様は、まるで希望を告げているように見えました。りんごとともに必ず復興はできる。この思いが私たちの活動の原点です」。

私が初めて陸前高田を訪れたときは、まだ津波の傷跡が生々しく残っていて、「この線まで津波が来た」というラインがはっきり分かりました。米崎町にはアップルロードという道があって、そのギリギリまで波が来ていましたが、その上のりんご農家さんのりんごの木は残ったのです。

大阪からは遠く、ひょっとしたら行くことが無かったかもしれない三陸。池田さんのブログを通して知ることが出来たこと。りんご農家さんや女性会を大切にして行こう! グロワールはそんな風に思っています。そして希望のりんごを通じて、りんご農家さんの「りんごの木」オーナーになりました。5月に伺ったときは、可愛らしい花を沢山付けていました。りんご農家さんのお仕事は大変で、花が咲き終わったら小さい蕾を取っていくのです。広い農園の全ての小さな蕾を選んで取って行くのは大変な作業です。秋になるとその努力が実って、切なくも愛おしい甘酸っぱいりんごが出来上がります。その頃、グロワールにもりんごが届きます。実をスライスして窯で乾燥させてからドライアップルにしたりんご食パンや、コンフィチュールを使ったデニッシュなどがお店に並ぶのです。グロワールはりんごのパンは希望のりんごしか使いません。そのため1月末には終売になりますが、また秋になり、りんごの実がなったら、美味しいりんごを使ったパンを作ることが出来るのです。

グロワールのフレッシュバター[2017/7/20]

先代は昭和30年頃にグロワールの前身「大宮木村屋」を始めました。昔は各町に暖簾分けされた東京銀座発の木村屋があり、町名を頭に付けて区別していたのです。グロワールは大宮町にあるので大宮木村屋ということになったのです。今でもうちの店を「木村屋さん」と呼ぶのは、大昔からのお客様の証拠!

その当時は朝も夜もなく店を開けていて、年中無休で営業していたそうです。「同割」といって小麦粉、砂糖、卵を同量の配合で作ったビス生地をトッピングしたパンを焼き、冷めたらフレッシュバターの薄切りを挟んだ「フレッシュバター」、編み込みのパンにクルミとビス生地を載せて焼いたパンなどは大変人気がありました。「フレッシュバター」に関しては、当時はそういったパンもまだ目新しく、世に出すとあっという間に流行になっていったそうです。

昭和から今もこのパンを販売しているパン屋さんは長く愛されている証拠。きっとそのお店の懐かしレトロパンが並んでるに違いないので、昔ながらのお店に行って「フレッシュバター」探しも楽しいでしょうね。